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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

を踊らしてんか、いやはって、妻太郎はんと代りましたんや」

「やっぱり、おれの考えたとおりじゃった。……それで?」

「ほたら、あないな、どえらい騒ぎになって、小屋は焼けて、わやになってしまうし――金五郎さんに逢おうと思て、わざわざ、東京から来たんやけど、一ぺん、帰って来う。……いやはって、……」

「東京に帰った?」

「久しぶりで来て、若松の様子もわかったし、……なんより、一番に、あんたはんのこと知りたかったんやろな。……日若座の後始末のゴタゴタ、それに、選挙のゴタゴタ、そないなときに、金さんの気を散らしたらあかん、すまんさかい、と、いうて、火事の翌る朝、早ように……」

「帰った?」

「選挙がすんだら、出なおして来る、いやはってな」

「ふウン……?」

相かわらず、神出鬼没だ、と思い、金五郎は、次の機会のお京の出現に、不気味なものを感じた。

(一体、お京はなにを考えとるのじゃろうか? なにをしようと、いうのじゃろうか?)

しかし、その不安のなかにも、一度は逢いたい気持は強かったのである。

君香がなにか重大な秘密を隠していることには、金五郎は気づかなかった。

「あては、ここで」