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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

(友田喜造と、いよいよ、最後の対決をせねばならんときが来た)

そう、思う。もとより、覚悟していたところであった。しかし、そんなら、その「最後の対決」というのは、実際には、果して、どういうことなのか?――金五郎は、それを考えると、昏迷し、慄然とならざるを得ないのである。

去年、上京したとき、「筑紫館」で、井上安五郎に話したことがある。

「いよいよ、土壇場に来たのかも知れん。長い敵じゃったが、今度の問題では最後の対決になるかも知れんと思うとる。……わたしは、一度は死んだ男、……もう一ぺん、死んでみるのも面白い」

そういって、笑ったのであったが、今、現実に当面してみると、笑うどころではないのである。脚下に深淵が口をひらき、地獄をのぞいているような恐しさであった。

金五郎は、なおも、日記のページをめくった。丹念にメモする癖で、経過は明瞭である。けれどもどのページからも、解決の曙光は見られなかった。それどころか、ほとんど、毎日のページに、憤りや、歎きや、自嘲や、ときには、放棄的な、暗澹とした文句が書き列ねてある。

二月二十五日――聯合組小頭。集マラヌタメ、流会。