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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
翌朝、いつもと同じように、機嫌よく、子供たちと、朝食をした。
「お父さんの作夜の「ゴンゾ踊り」、面白かったわ。また、見せてね」
御飯を食べながら、女学生の繁子がいった。里美も同意見とみえて、姉といっしょに、父の顔を見た。
金五郎は、にこにこと、
「よしよし、いつでも見せてやるぞ。今度は、もっと面白い「ダンブロ踊り」ちゅうのんを、踊ってみせる」
「ダンブロ」は汽船の船槍を称する仲仕言葉、石炭荷役をするハッチの掃除を、担当している組があるが、その組のことを、正しくは「穴繰口」、俗に、「ダンブロ口」と称していた。
マンは金五郎の顔を凝視した。夫の胸を領している非常の決意が、どんなものであるかを知ろうと努めた。しかし、顔色を見ているだけではわからない。
「勝則」
金五郎は、息子を呼んだ。
「はい」
「これをな」と、書類の束を、風呂敷に包んだものを渡して、「お前、厳重に、あずかっといてくれ。今日は、十時から、争議本部で、小頭組合の評議員会をすることになっとる。お前も行っといてくれ。無論、おれも行くが、もし、行かなんだら、その書類を開けて、万事、お前が処理をしてくれ。