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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
「お前たち二人には、コレラの黴菌が、いっぱい、ひっついとる。絶対に、出ることはならん」
そうして、二人は、監禁された。
長屋の一隅に、一間四角の掘立小屋が作られた。雨露を凌ぐに足るだけのバラックである。扉はあるけれども、外から錠前が降され、その鍵は、役人が持っている。
両側に、空気抜きと採光とを兼ねた、一尺四方の小窓がつけてある。別に、大小便口がある。この箱の中に、二人は、一週間、蟄居することを命ぜられた。
「一週間目に検疫して、一匹でも、黴菌が居ったら、もう一週間、隔離を延長する」
青い腕章の市衛生課吏員は、小気味よげにそういいすてて、大威張りで、帰って行った。
「木ッ葉役人の畜生奴、棺桶の仇討ちをしやがったな」
新之助は、ぶりぶりと、腹を立てた。
金五郎は、笑って、
「新公、まあ、そう怒んな。わざわざ、家を新築してくれたんじゃないか。骨休めに、ちょうど、ええわい。もう、こうなったら、寝るの一手じゃ。一年分ほど、寝溜めしようや」
「そういえば、そうじゃが……」
と、新之助も、不承々々、機嫌をなおした。
箱の中での奇妙な生活が、はじまった。
二日も経たぬうちに、もう退屈してしまった新之助は、「こんな小屋、わけない。