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したやそうわ
下谷叢話
永井 荷風
自序「下谷叢話」春陽堂、1926(大正15)年3月20日<br>第一~第四「女性 第五巻第二号」プラトン社、1924(大正13)年2月1日<br>第五~第十一「女性 第五巻第三号」プラトン社、1924(大正13)年3月1日<br>第十二~第十五「女性 第五巻第四号」プラトン社、1924(大正13)年4月1日<br>第十六~第二十二「女性 第五巻第五号」プラトン社、1924(大正13)年5月1日<br>第二十三~第二十九「女性 第五巻第六号」プラトン社、1924(大正13)年6月1日<br>第三十~第三十五「女性 第六巻第一号」プラトン社、1924(大正13)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,971 字 · 246 页
夢裡揚州薄倖名。霜白村橋人有跡。月寒山駅馬無声。貂裘敝尽尚存舌。且説詩書代※(「耒+禺」、第3水準1-90-38)耕。」〔少小ヨリ家ヲ辞シテ遠行ヲ事トシ/西征纔ニ了リテ又東征ス/貧来※(「くさかんむり/(止+頁+巳)/夂」、第3水準1-15-72)府※※ノ句/夢裡揚州薄倖ノ名/霜白ク村橋人跡有リ/月寒ク山駅馬声無シ/貂裘敝尽スレドモ尚舌ヲ存ス/且ク詩書ヲ説キテ※(「耒+禺」、第3水準1-90-38)耕ニ代ヘン〕枕山は旅行の先々で人の需に応じて詩を講じ書を揮毫してその報酬を旅費に当てたのである。
帰途についた日は審でないが、その歳もまさに尽きようとしていた頃であろう。海路を再び金沢に取りここより船を乗替え、海上雪に遇いながら品川の沖に一泊した。
『房山集』所載の詩は三田の薬王寺に先君子竹渓の墓を展した五言古詩を以て終っている。展墓の詩中わたくしは枕山の伝をつくる資料となるべき句のみを挙げる。
「十歳遇大故。夙志長已矣。」〔十歳ニシテ大故ニ遇ヒ/夙志長ズルノミ〕これによって枕山は十歳の時父にわかれた事がわかる。「骨肉亦無多。孑立将何恃。」〔骨肉亦多キコト無ク/孑立シテ将何ヲカ恃マン〕枕山には兄弟骨肉の互に相恃むべきものがなかった。