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やまのじんせい

山の人生

柳田 国男

山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页

青空文庫

それが縁になってその後もおりおり出会ううちに、或る時いつ幾日にはその方の家へ遊びに行く。家の者を外へやり、餅を搗いて待っていよというのでその通りにして一斗ほどの餅を振舞うと、数人の山男が悦んで終日遊んで帰った。それはよかったがその後もおりおりやってきて、酒を飲ませろの何のと言うために、ついにはその煩しさに堪えず、これを気に病んで久しく寝ているようなことになった。村の人たちはこれを見て、山男などと附合をするのは、いずれ身のためには好くないことだと話し合っていたそうであるが、もしこの樵夫にせめて松任の餅屋ほどの気働きがあったら、神経衰弱などにはならずにすみそうなものであった。しかも因縁ばかり永く続いて人に信心のやや薄れた場合に、尋常一様の手段では元奉仕した神と別れることが難かったということは、しばしば巫術の家について言い伝えられた話であった。餅が化して白い小石になったということと、石を火に焼いて怪物を攻めたということとは、ともに古くからある物語には相異ないが、山人の場合には二つの話が合体して、あまり毎晩餅ばかり食いにくるので、のちには閉口して白い丸石を囲炉裏に焼き知らぬ顔をして食わせて見ると、火焔を吹いて飛びだして去ったとか、またはその祟りで大水が出たのが年代記にあるところの白髭水だなどと、いずれも皆一旦の