轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

02 ちげぐさの巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页

青空文庫

院の諸門も、閉ざされていた。身を鎧って来た張りあいもないほどである。――が、仙洞へ来てみると、武者所の一門はひらかれ、一殿の遠侍の間、また、木の間もる寝殿の灯など、常ならぬ気配はどこやらにある。

忠盛は、院の別当が召されるとあり、すぐ中門から、内へかくれた。一方、清盛は、武者所の建物のまえに、黒ぐろと群立している同僚や、他家の郎党たちを見かけ、その口ぐちの声から、何事のお召しかを知ろうと思って、近づいて行った。

『人の身こそ、わからぬもの。つい、先月のことではなかったか、菖蒲小路の源ノ渡が家へ、われら同僚ども大勢して、月見にと招かれたのは』

顔、顔、顔――興奮した顔ばかりである。奪いあって、語っている。

『おお、あの夜は、おれもいた。客どもは、たべ酔うて、秋の月よりは厨の月をこそ、見せろ、見せろ――などと渡を困らせて』

『だが、さすがは、渡。――あのとき、自分の新妻を、おれたち友人に、ひき合わせた仕方は、よかった』

『おう、いまも、眼にあるわ。――萩の小坪に四白の駒をひいて。あの袈裟ノ前の立ったる姿よ』

『月、まばゆげに、われらの方へ、会釈はしたが、ニコともせなんだ横顔がの』