轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

02 ちげぐさの巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页

青空文庫

『音に聞く、明石の浦も、船で通ったであろうが、どんな所か』

と、おたずねになった。

ほかの儀なら、お答えもしやすいが、風景をなんと説明しよう。忠盛はぜひなく、一首を詠じて、お目にかけた。

有明の月も明石の浦かぜに

波ばかりこそよると見えしが

これは、当時の歌人の俊頼、基俊、顕輔朝臣なども、みな秀歌だと賞めている。そして後には、勅選の金葉集にも載せられたほどであるから――上皇の御感に入ったほども、思いやられる。

上皇には、そんな御記憶もあって、忠盛を、一介の武弁とばかりは、見ておられなかった。――で、一ノ宮の乳人と、かれとの仲をお知りになっても、忠盛への御信頼には、毫も、おゆるぎはなかったのである。

しかし今は――と、御思案のすえか。これが表面化してから、二月ほど後のこと。お座の間の近くへ、忠盛を召された。そして、

『そちも、宿の妻には、不運な男よの。……なお、ひとり暮しでは、やしきに在っても、あじきないことであろ。さいわい、一ノ宮へ上がっている乳人の有子は、そちへ嫁ぎたがっておるという。一ノ宮もやがて乳を離れてもよいころではあろうし……。きめてはどうかの、北の方に』