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にっき

日記

宮本 百合子

15 一九二九年(昭和四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页

青空文庫

○食事一度 20F 位は普通だ。が、このホテル、数で質をごまかして居る。

○ケイコ後、Madeleine で会い、コンコードへ歩き、いつか見たがって居たストラスブルグの像を見物させた。チュレリーへ行って、家のこと話し乍ら奥の噴水のところへ坐って居たら、太鼓叩いて公園のしまることをふれて来た。その太鼓どうしても 1890 年だ。そのように古い感じ。自分黄金狂時代をブル※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ールで見たいと思って Madeleine へ来てくれと云ったのだ。Bld de Italie の方へ歩き、変な Caf※(アキュートアクセント付きE小文字) Restaurant へ入ってスペイン料理という野菜スープや、ハムライスみたいなものをたべ、出てTさんが共同便所へかけ込んで、それから Volga Volga というのを見に入った。ステンカ・ラージンの情人を海へすてたロマンスを主題にしたものだ。映しかた平面で第一ヴォルガの感じも出ず自分不満だった。ただフィルカをやった男、ロシアの貴族のスレーブの或性格――暖かさ、愚かなユーモア純情など――出して居、上手に演出し最後はこの男だけでしまった。