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にっき
日記
宮本 百合子
15 一九二九年(昭和四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页
先もやと二人で中途から見て大したものと思わなかった。こんど見ておいてよいことをした。
スエ子
チャップリンは違うだろうが、チャップリンのつくる人、お兄様にとても似て居る、この人、だからいじめられたりするといやな気がする。
と云った。
自分国男がいつかモンパルナスの角で、mのベンジンを買うため大きな男につれられて片足をあおりつつ、せっせとわきについて歩いて行った後姿を忘れぬ。
又ロンドンで、ロングフォードのあの家に居て、「一週に一度、二人で一時間」英語のケイコをすることにし
「まあその位のものでしょう」と云う手紙をよこしたところなど、或感じをもってよんだ。
「お兄様、迚も御膳立てしてしまって、すっぽかされる性なの」
スエ子が国男を愛して居る感情、よく理解して居る感じ自分を打った。自分はクニオを最近はこれだけ知らぬ。
○スエ子、黒と灰色で、室の中央からピュッと分けて装飾した室が欲しいと云った。
○黒い絵、きたない絵がかきたいと云った。
○自分スエ子の内に強い、重厚な――その点では自分以上な何かがあることをこの頃感じ、たのしみだ。
○デジュネ〔朝食〕のあと、絵の話をして楽しく、亢奮した。