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にっき
日記
宮本 百合子
15 一九二九年(昭和四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页
が手紙の中にせっかくの袋について何もメンションして居ない。忘れたのかしら? わたすの。
八号の絵がもやの室へ大きすぎる――そんなに小さい室であったか――。
松本夫妻、平、永瀬(版画)とサロン・ドートンヌへゆく。要するにレベル展だ。却って版画の方に面白いものがある。技術の標準は相当高いが、作者の切りこみかたで面白いと思うものは、殆ど見当らなかった。よい意味で向うからとびついて来る絵も。――色彩のただ効果から来るとびつきはあるが――。フランスの画壇の空気をよく示して居る。却って自分は画商にある絵の方をこのむ。非常にサロン向な絵の多きことを感じる。
片山さんに会い、フジで落ち合い、食後ベルビロアーズの芝居を見に行った。コオペラティーブの新しい明るい建物だ。
上のレーニンの間。小さいレーニンの肖像が、まるでフランス流に細そり、軽くアレンジされた鎌と槌の間について居て、まわりには、桃色のプラスターでギリシアの仮面や、牧笛などが装飾だ。ゴリキーの「メシチャンストヴォ」「小ブルジョア」という題で。
演出は、よくない。
統一も押しどころもよくつかめて居ず、第一演出法がイディオロギッシュに云ってちっともかっちりして居ず。