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にっき
日記
宮本 百合子
15 一九二九年(昭和四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页
愛情の表現ではない。宇野は腹がすいたのだ。が、やっぱり彼は美しいと感じたものをかじり出した。
自分宇野のもみ上げ、永い顔と、あの獺のカラーとを知って居る。そこでこの宇野が黄色い気違いの顔で美しいバラ(何か赤いバラとしか思えず)をたべたところ、白い美しい女の手をかじったところ、非常にタッチングではないか。何か彼の芸術魂とでも云うものを示して居て、自分額がかたくなった。永瀬それを笑って喋って居る。自分次第にこの男の友情がいやになった。何度宇野のこの美しくあわれなバラをくった話をして、バカな笑いを笑わせて居ることか。
この男から眼をはなせぬ憤りを感じた。
こんな奴を、しんのわからぬところのある奴を、友としてはやり切れぬ。あの時、誰が自分と同じように感じたであろうか。
憤りを感じ自分、「あなた宇野さんと大変親しいお友達なの」ときいた。
――○――
久しぶりで芸術の話をして自分活々した。やっぱり自分芸術の話をせずにはやり切れぬ。
片山さん心持のよい人だ。湯浅さんの持って居るような一種のプレゼンス of mind があってよい心持だ。片山さんはよい友だ。