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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『火星の魔術師』。同一底本的分册已合并为一书。收入:火星の魔術師、夢鬼、歪んだ夢、魔像、白金神経の少女、睡魔、地図にない島、宇宙爆撃、蝱の囁き。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 页
「いや――、しかし……」
「遠慮は無用。君はわしの人物試験にパスしたんじゃ……だからいうが、わしはこのバーの主人なんじゃよ」
私は、あなたから君に変り、そうじゃ、そうじゃという老人臭い口調に変り、そして又、このバーの主人なんじゃと名乗られたことに、いささか面喰ったかたちであったのだが、
「なアに、研究室といったって、この奥じゃよ、それに、助手としては、あの木美子一人きりじゃからナ、遠慮することはないよ」
という説明を聞かされて、行って見るだけでも行って見ようか、という気が起って来た。それは老人への好奇心ばかりではなく、あの木美子という美少女が助手である、ということに魅かされたのであることが、もっと大きな原因でもあった。
「――そうか、ではすぐ行って見るかの」
そういうと鷲尾老人は、先きにたってドアーを潜った。年齢は幾つ位かわからなかったけれど、そんな言葉使いをしたり、こうして先に立って歩いているのを見ると、少くとも六十は越しているらしかった。(木美子というのは十八九に見えるけど、この老人の娘かな……それにしては余り似ていないようだが……)
などと考えながら、私は従って行った。