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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『火星の魔術師』。同一底本的分册已合并为一书。收入:火星の魔術師、夢鬼、歪んだ夢、魔像、白金神経の少女、睡魔、地図にない島、宇宙爆撃、蝱の囁き。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 页

青空文庫

八

まことに、それは墜落というより、大地に向って叩きつけられた、といった方が近いほど、物凄い物音であった。黒吉は呻き声すら漏さなかった。

次の瞬間、葉子は息を切らせて駈寄った、そうして、馬場の砂地へ貼つけたようにのびている黒吉の無残な姿を、ジッと見直すと、やがて彼の上半身をそっと抱起して、低く呟いた。

「黒ちゃん、黒ちゃん、すごかったわよ……ね……ほんとにすごかったわ……」

そして、夢みるように薄く口を開きながら、高い高い小屋の天井を見上げていた。

八

長い長い、真ッ暗な針地獄の中に、喘ぎつづけて、フト、気がついた時、黒吉は、消毒薬のムッとする施療院の片隅に、転がっている自分を発見した。

(俺は、まだ死ななかったんか……)

夢うつつの中に、そう思いながら、最初に気づいたのは、僅かに左の眼と、口元だけを残して、自分の顔も頭も、体全体が厚ぼったい繃帯につつまれているということだった。

すると、見る見るうちに、目が眩んで来て忘れていた痛みが、急にジクジクと甦り、押寄せて来て、再び黒吉は果てしもない昏睡の中に、引ずりこまれて行った。

……それから又、どの位たったであろうか、けむりのように、