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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『火星の魔術師』。同一底本的分册已合并为一书。收入:火星の魔術師、夢鬼、歪んだ夢、魔像、白金神経の少女、睡魔、地図にない島、宇宙爆撃、蝱の囁き。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 页
九ノ三
早熟た二人はお互にそれで満足したのであった。
九ノ三
あの素晴らしい同乗試験が、二三回済むと、いよいよ黒吉は、生命の縄一本に身を托す、パラシューターとしての第一回の飛下りを決行することになった。
――飛下りてから、口の中で五ツを数えてから、グッと力まかせに、綱を引いてパラシュートを開かせる――そして、ゆたりゆたりと空のコスモポリタンをきめ込めばいいのだ。
だが、それはなんというスリルに富んだ一瞬であろう。もし綱を引いても、パラシュートが開かなかったら!
千が一、万が一、いや絶対に、黒吉は生きてこの地上に立つことは出来ないのだ。
その上、ここのパラシュートは、言ってみれば試験中のもので、誰が絶対に安全の保証をなし得ようか。設計した技師も、自信はもてても、その最後の点には、この実地試験を、幾度も繰返えさなければならないのだ。
もし、綱一本の手違いがあったら、もし、畳み方一つに誤があったら……。黒吉の体は木葉微塵となってしまうことは、火を睹るよりも瞭かなのだ――なんという恐ろしい仕事であろう。なんという命しらずの試験であろう。
パラシューター、それは大空のコスモポリタンである。