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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『火星の魔術師』。同一底本的分册已合并为一书。收入:火星の魔術師、夢鬼、歪んだ夢、魔像、白金神経の少女、睡魔、地図にない島、宇宙爆撃、蝱の囁き。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 页

青空文庫

宇宙爆撃

一

所長の発表が終ると、文字通り急霰のような拍手がまき起った。

その中でただ一人木曾礼二郎だけが、呆然とした顔つきで、拍手をするでもなく、頬をほころばすでもなく、気抜けのように突立っていた。

「おい、木曾君――」

ぽんと肩を叩かれて、はっと気がつくと、すでに研究所の中庭にあつめられていた所員たちの姿は、ほとんど去りかけていた。勿論、いつの間にか壇上の老所長の姿も消えてしまっている。

「どうしたんだ、ばかにぼんやりしてるじゃないか」

「……いやあ」

「はっは、腐ってるんだな、わかるよ、腐るな腐るな」

「いやあ、何も……」

「ふっふっふ、いいじゃないか、希望を持て希望を――、何も今度ぽっきりのことじゃないんだからな、きっと俺たちも行くようになるぜ」

肩を叩いた長田が、慰めるような眼で、木曾の顔を覗込んだ。木曾は、その眼から顔を外らすと、

「そんなことじゃない」

「そんなことじゃないって――、じゃあ何んだね、何んにもないじゃないか、そんなにスネるもんじゃないぜ、そんなに行きたけりゃ、所長の方へ申出て置けよ、俺は早速申出るつもりだ」

「ふむ……」

「君の分も、申込んで置こうか」