轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『火星の魔術師』。同一底本的分册已合并为一书。收入:火星の魔術師、夢鬼、歪んだ夢、魔像、白金神経の少女、睡魔、地図にない島、宇宙爆撃、蝱の囁き。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 页
「珍しい船がいるね」
中野は、望遠鏡から眼を離して圭さんをかえりみた。
圭さんは相変らず、その陽焼けした顔に、一すじの表情も浮べないで
「うん……外人のだろう」
そう、気のなさそうな返事をして、見向こうともしない。中野は仕方なしに、また望遠鏡を覗きこんだ。
「…………」
いつの間にか、いま一寸眼をはなしたばかりなのに、その間に船には人影が現われていた。しかもあでやかな、薄いワンピースを着た若い女性らしく、その藤色というよりも小豆色に近い色調が、陽の照りかえしのように眼に沁みた。中野は、あわてて接眼レンズを拭いなおしたり、ピントを調節したりして、一心に覗きこんだ。
日本人で、二十歳ぐらいの女性だった。漆黒の断髪を潮風に靡かせ白い船室をバックにして手すりに靠れていた。海風が彼女の体を撫でるたびに、彫刻のように均斉のとれている肢体が、レンズを透してふっくらと浮出して見えた。
そして、何気なく彼女がこちらに向けた顔と、レンズを透してばったり真正面に会った時、中野は思わず、低くはあったが
「あ!……」
と洩らしてしまったくらいであった。それほど、彼女が美しかったのである。