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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
09 一九四二年(昭和十七年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页
と。多分あなたは肩がこっておしまいになるわね。あっちへよろよろ、こっちへよろよろで。
南江堂へ聞いてみたところ、目録はドイツ語の医書と科学書の原書のみで、訳註本のはやはり出していないのだそうです。
ウワバミ元気のこと[自注4]については、一同に朗読して聞かせたところ、御難という程でもなかったとのことです。あなたのトンビは、今考えれば本当に惜しいけれど、壺井さんが帰った時、勤めに行くのに着るものがなくて、あまり困ったのであげて、今でも大事に着ています。私達の通知状を世話やいてくれたし、そんなこんなでまわしたのですが、黙ってそんなことをしていけなかったかしら。夏服も同じ人に使せました。冬服は私のいない時に(九年のはじめ)だまされて誰かにとられてしまいました。四谷に国男さん達が住んでいた頃。こういう風に書いてみると、何んにもなくしたようで厭な気持ね。でも緊急になくて困っていた人があって、いくらでも買えたあの頃の私達の気持では、蔵っておいて虫に喰われるよりは、と思ってのことですからどうぞ悪しからず。
赤ん坊の名前はまだきまりません。セカンドジョンの話しを聞かせたら誰れも知りませんでした。