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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

09 一九四二年(昭和十七年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页

青空文庫

私は勿論よ。中々しゃれたことを御存じね。お説のとおりですから国男さんが照という字を嫌っているし、また考えなおしてみましょう。

広島へはすぐ葉書出しました。お母さんはもう行っていらっしゃることでしょう。私にもあのあたりの町の景色がみえるようです。歴史が無限のエネルギーを持っているということは、人間の究極の希望と信頼の土台で、それ故に人は自分の一生というものの価値を外見上の一生の現れ以上のところへおいて考えることが出来るのですが、「多少の感慨」は時に中々痛切です。人は同時代人の種々相を感情の小さい面に反射させ易いものですね。

文芸欄のある新聞は『都』だけだったので、またとろうとしたら『国民』と合併になって、『東京新聞』という名になっていました。内幸町の新しい船のような白い『都』の建物は中身がどうなっているでしょう。それでも細かく一頁を使って、いくらか特色をとどめているから可愛ゆいと思います。十何年来買ったことのなかった色々の月刊雑誌も寄贈をやめましたから、このことも様子が違います。さて買うとなると、この頃の内容広告は一円が惜しいようなものでね。しかし悪い米も食べてみなければ、悪さも良さもわからないというところもあります。