轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
「たいそう忙しいんじゃなあ。いつか、おれのために、閑をつくってくれんさいや」
「そのうちにね」
時次郎は、つれないマンの態度に、あきらかに、失望のいろをあらわしたが、それでも、にこにこ顔をつくって、
「そんなら、また」
と、愛馬の頭をめぐらした。上背のある、たくましい栗毛の四歳馬である。
「時やん」
と、マンは、急に、すこし狼狽した顔で、呼びとめた。
「あン?」
「あんた、七瀬の水車のところを通って、帰りんさるかね?」
「そうよ。あの道しかないけえ。それが、どうかしたな?」
「どうも、しやせん」
マンは、くるりと廻ると、飛びあがるようにして、家の方に走った。
家の下の崖まで来て、足音を殺した。斜になった石段を、そっと登った。母にさとられぬよう、裏手の牛小屋の方に廻った。
すると、どこにいたのか、愛犬のシュンが、暗闇のなかから飛びだして来た。はげしく尾をふり、クウン、クウンと鼻を鳴らして、まつわりつく。
「シイッ、シッ」
びっくりして、追ったけれども、シュンは逃げない。昼間からずっと、一番可愛がってくれる主を見なかったので、よっぽどうれしかったらしい。煙草葉を入れた笊を落しそうになるほど、騒々しく飛びかかって、じゃれる。