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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
「やっぱり、野心があるんじゃな?」
「共働組でも、小頭の中には、加入したい希望の者が、なんぼか、あるんですが、なにしろ、大親方の友田が、睨みを利かしとるもんですけ――玉井の組合に入りたければ、入れ。考えがある。……そんな風にいわれたら、誰も入らんですよ」
「友田は、前から、そうじゃったが、港の仕事は、自分がみんな取ろうと思うとるんじゃよ。荷主の方だって、なんぼでも安い方がええからのう。そっと、裏から廻って、協定の請負賃銀より、一トン当り、二銭でも、三銭でも引いてやるといえば、聯合組のお得意でも、友田の方へ、仕事を移さんともかぎらん」
「そうなんですよ。もう、その兆候が、出とるんです。現に、四五日前も、聯合組に来る筈じゃった三菱の玄洋丸の荷物炭が、八百トンも、共働組に持って行かれました。大体、働く立場の者が、仕事の奪いあいをして競争するなんて、まちがっていますよ。今でさえ安い賃銀を、また安うしたりして、結局、資本家をよろこばせるだけのことです。わたしは、これまで、沖仲士をして来て、どうして、こんなに、みんなが汗水たらして働いとるのに、生活が楽にならんのかと、不思議でたまらなかったんです。