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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

「あいつ、生意気に、「若松実業新聞」で、親分に盛んに楯つきやがって、とうとう、殺されてしまやがった。馬鹿な奴じゃ」

「わたしは、立派であったと思っています」

「親分には、親分のために命を惜しまぬ子分が、うようよしとる。若松で、吉田親分に楯ついて、碌なことはないよ。玉井君、君も考えなおした方がよさそうじゃな」

「考えなおしません」

狭い湯槽の中で、膝を接しながら、語る二人の言葉は穏かであったが、肌に躍る龍、大蛇、蝦暮、蛞蝓、などの怪獣たちの眼は、白い湯気のなかで、さらに、不気味な光を増したようだった。

「まあ、そのことは、また、後まわしにしよう。それより、玉井君、君は怪しからんぞ」

友田は、露骨に挑戦的になった。

民政党入党の勧告も、予期していたが、これから、友田がいわんとすることも、金五郎には、わかっていた。それで、「怪しからん」といわれても、「なにがです?」とは訊かず、黙っていた。黙って、タオルで、身体を洗った。

友田は、その落ちついた様子が、一層、癇に触るらしく、

「どうも、君はいけん。君と仲ようしようとは、昔から考えとるんじゃが、君のやり口が悪いもんじゃけ、衝突せにゃならんことになる。