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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
わしにも、経験がある。そげな心配はしなんな。おマンも、割と苦労性じゃなあ」
「そうでしょうか?」
「向こうだって、あるかもわからんぞ。藤本の嬢も、二十二といや、一人前、わしは洒落れた言葉は知らんけんど、青春てら、なんとかの目ざめてらいう年頃じゃでな、ちょっと好きな男の一人や二人、ないとも限らん。あったって、ええよ。結婚して、夫婦になってしまや、そげなこた、なんでもない。わしが、請負うちょく」
「そんなら、よろしいですけど、……」
マンは、まだ、気がかりの面持だった。
「それに、おマン、もし、勝則が、その噂のある芸者と、なんぼか深入りしとったとしても、芸者のことなら、金でかたづく。わしに委せときない。大丈夫。勝則は親思いのおとなしい子じゃけ、今度の縁談をくずすようなことはしやせん」
「あたしも、そうは考えとります。……じゃけど、あの子、無口で、おとなしゅうはありますが、なにを考えとるのか、なにをしでかすか、わからんようなところも、あるもんですけ……」
「大学まで行っても、半纏がけで、沖に出とるのを、わしは感心して見ちょる。金五郎のような苦労はしちゃ居らんが、体格もええし、ええ親分になるじゃろよ。