轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

父卯八や、兄卯太郎、それから、仲介の村長への義理を立てて、黒石家を飛びだすことを我慢していたのであるから、金五郎にとっては、もっけの幸であった。

玉井家に帰って来ると、父や兄はなにもいわなかったが、嫂のスギは、

「この、糞馬鹿が」

と、以前より、数倍も、金五郎を酷使し、虐待した。

黒石家から、訴訟が起された。名誉毀損、結婚詐欺、財産横領、器物破壊、家宅侵入、損害賠償、暴力行為、傷害、印鑑・私文書偽造、貞操蹂躙――あらゆる罪名が、にぎやかに、金五郎のうえにつけられた。

金五郎は、苦笑した。

「もう、なんにも、いわん。ただ、おれは、ヤス坊の身体に、指一本、触ったことはない。暴力行為で、貞操蹂躙されかかったのは、こっちの方じゃ」

そのことだけを、釈明した。

黒石家からの復讐は、いろいろな形で行われた。それは、しだいに、悪質になった。

この近郊農村一帯は、四国東部、阿波徳島の影響をうけて、浄瑠璃が盛だった。吉藤にも、立派な衣裳や人形を持った「温泉座」という一座があり、百姓片手で、三味線をひき、デコを使う者もあった。金五郎も、若手の語り手とされていたのに、祭の日になると、誰も三味線をひいてくれず、人形も動かしてくれる者がなかった。