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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
「いつごろ、竣功の見込みかね?」
「まだ、半年はかかろうなあ。冬のお蛭子祭には、なんとか間に合わせたいと思うて、馬力をかけよる」
「コケラ落しには、なにをやるつもりじゃ?」
「いろいろ考えちょるが、金さんも智慧を貸してくれ」
「おれは、興行のことはわからんよ」
「北九州素人浄瑠璃大会、ちゅうのは、どうじゃろか」
「そうじゃなあ……?」
「東京か関西かの大歌舞伎を招んだら?――そういう者もあるけんど、おれは、やっぱり、なんか地元に関係の深いもんで、蓋をあけたいんじゃ。素人浄瑠璃の会なら、知った者がみんな出られる。おれも出るよ。無論、お前にも出て貰う。玉井春昇太夫の三勝半七も、永う本式に聞かんけのう」
「おれは、駄目じゃ。じゃが、そいつは、ええ思いつきかも知れん」
「そのうち、本式に相談するけ、頼む。島崎勇次も、大賛成してくれちょる。島崎も、このごろ、義太夫を始めたもんじゃけなあ。そらそうと、金さん、島崎に逢うたら、お前からも、くれぐれも礼をいうちょってくれんか。この日若座が建つについて、島崎がどれだけ力になってくれたか知れん。お前の援助を、ありがとう思うとることはいうまでもないが、島崎の力の入れかたは、格別じゃよ」