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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

沖仲仕の総罷業は、洞海湾内のみでなく、石炭を掘りだす炭坑元をはじめ、鉄道、桟橋、汽船、帆船、沿岸諸工場、関門地方から、阪神方面にまで、さまざまの影響をおこして、問題は重大化したのである。水上警察署が、調停に乗りだして来た。

石炭商組合は、二万円以上は出せないといっていたが、二十六日になって、四万円にせりあげた。なお、さまざまの複雑な経緯を経てではあったけれども、解決をみたのは、二十七日、午前十一時である。二十五万円要求にたいして、六万円と、争議費用、三千円、計六万三千円というのであった。この金額が、調停案となったとき、

「玉井、どうするな?」

友田喜造に、そういわれて、

「それで、手を打ちましょう。いろいろ、ありがとうございました」

と、友田の前に、頭を下げた。

罷業は、ただちに、解除された。

港は、生き返った。

「おめでとう」

大庭春吉、森新之助、井上安五郎、原田雲井、藤本喜八郎、その他の人たちから、祝いの言葉を述べられたが、金五郎の渋面はとけなかった。

(友田喜造を、ピストルで脅迫したための成果が、なんで、うれしかろうか)

憂鬱は深まるばかりだ。

無論、この争議に働いたのは、金五郎ばかりではない。