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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
請負業者、小頭、仲仕の多くの人々が、苦心して、協力した。しかし、その中心には、いつでも、金五郎がいた。
善後策のため、いくたびか、会合が開かれた。
この六万円によって、大量整理が行われた。多くの小頭と仲仕たちとが、なれ親しんだ港の仕事をはなれて、転業した。
玉井組も、一号、二号、三号、とあったうち、三号を減らした。
「まずまず、勝ったうちね」
マンは、にこにこしている。
「勝ったのか、負けたのか、わかるもんか」
相かわらず、金五郎は不機嫌だった。
(争議には、勝ったかも知れんが、おれは、人間としては、大敗けした)
一生涯、消えることのない悔恨である。
八月二十八日、「川施餓鬼」が、行われた。
洞海湾で殉難した死者を祭る年中行事である。小頭組合が出来てから間もなく、金五郎が発案して、組合主催で始めて以来、今では若松名物の一つとなっていた。安養寺の和尚が、争議中なので、出来るかどうかと心配していたが、やはり、ストのため、例年より、二日遅れた。「川施餓鬼」が来ると、金五郎は、マンと二人、古い小方名簿を繰ってみるのが、毎年の習慣だ。
「玉井組を始めてから、随分、人も変ったわねえ」