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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
四時四十分、第六哨赤坂見附――。四時四十五分、麹町区第二哨三宅坂、――四時五十分、第一哨桜田門。……以上であります」
第三の銃士が進み出る。
「松谷鶴子の原籍は京都市東山区山科町深野百二十番地。前京都府警察部長殿御原籍は京都市東山区山科町深野百二十番地であります」
真名古が顎をしゃくると、第四の銃士が課長室を出て行き、まもなく例の美しい縫子の花を連れて入って来た。真名古が何か低い声で命令すると、四銃士はそれで引き退る。
真名古は花を差招いて椅子に掛けさせると、例の通り水ッ調子で、
「ちょっと、頼みたいことがあってね、それで迎いにやったのだ」
花は顔をあげると、
「ちょうどよかったのですわ。あたしの方からお伺いしようと思っていたところだったんです」
「ほう、どんな用で」
花はけんめいな顔つきで、
「犯人は王様じゃありません。あたし、ホテルへ行って王様にお目にかかったんです」
「嬉しそうな顔をしてるね」
花はニッコリと笑ってすぐまたむずかしい顔をし、
「王様は毬栗頭でもありませんし、あんなノッポでもありません。感違いしないようにして頂きますわ」
「王様が犯人だなどといった覚えはないが、早のみこみをしちゃいけない。