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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,609 字 · 362 頁

青空文庫

四

「丈八郎」

と、蒲団を刎ねて――

「起きているか」

「お……。いぶかしいぞ」

「来たっ。は、は、は、は。丈八郎、俺は、なんだか、嬉しくってたまらない。とうとう来た――俺の、俺の待ちかねた日だ。ぬかるなッ」

もう、青砥弥助も、湧井半太夫も、十一人すべてが躍りあがって、

「赤穂の浪士、何ほどのことがあろう」

長押の槍へ、手をのばす者、日ごろ、稽古をしていた、半弓の弦を鳴らす者――。

「丈八郎! 俺と一緒に働け」

一角は、一枚の雪戸を蹴ってさけんだ。眼を射るような白夜の光が、さッと、室内へ冷たい空気をふきこんだ。

四

裏門、表門。――室内へ、庭口へ。

烏のような人数が、どっと、なだれ込んだ。誰が将、誰が某とも、わかたない。

付人側の十一人、鳥居与右衛門、須藤与一、左右田孫八たちは、みるまに、奮戦して、ばたばたと討死した。

一角は、朱になって、

「丈八郎、いるか。――丈八郎」

と、たえず、彼を呼びながら、

「けなげな、赤穂の浪人、清水一角のいるからには、ここは一歩も」

と、奥書院にかよう、中門に立った。

「推参ッ」

と、萩垣の横から、槍が走った。――若い、赤穂浪士の一人だった。