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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,609 字 · 362 頁

青空文庫

また人にも実に憎らしがられている。山の者はいうまでもなく、役人達まで、一人として彼を憎まざるものはない。久米一非常な傲慢だからだ。誰にも屈したことがない、誰へも傲倨に君臨する、ましてや芸術においては無論、天下の陶器師を睥睨している。

それでいて、城主を初め、役人や山の者までが、彼の前には、膝を屈しなければならなかった。たしかに、久米一は名陶工であったには相違ない。色鍋島の絢爛艶美な彫琢と若々しい光彩の漲った名品が、この老いほうけた久米一の指から生れて、他の若い細工人の手からは作り得なかった。

京の仁清、色絵の柿右衛門、みな一派の特長がある。この山からだす色鍋島は、こう行くよりほかに道はないぞ、と彼はよく弟子の枯淡になるのを叱りつける。

太守肥前守の使者、奥用人の刈屋頼母は、この尊傲な工匠の部屋へ通った。

「おいでなさい」

といっただけで、久米一、別に上座も与えず、ただ肉の厚い膝を、いやいや直しただけである。

「相変らずお達者で祝着」

かえって、城主の使者が世辞をいう。

「達者でござるよ。だが、もっと若くなるつもりだ」

「先日、殿からお贈り申し上げた朝鮮人参、どうでござります。