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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
三浦次郎、千葉六郎など、先頃の事変で、京都へ出向いた者たちも、続々と、帰郷して来るにつれ、皆ここへ立寄って、
「頼政の旗挙げに、六波羅の神経は、ひどく過敏になった。頻々と、東国の平家へ、何やら通状を発しておる」
と、告げ、それとなく、
「お心構えを」
と、促して行った。
勿論、こうした空気は、北条の館へも聞えているにちがいない。時政はどう考えているか。
容易にうごかない頼朝は、また、容易にうごきそうもない北条時政のほうの様子を、じっと、我慢するような気もちで眺めていた。
彼は、自分から北条家のほうへ足を運ぶことを、努めて避けていた。時政の態度にも同じ気ぶりが見えるからであった。彼は、口に出してこそ云わないが、
(わしの加担がなくば、御身の力のみでは何もなし得まい)
と、している風がある。
頼朝もまた、人いちばい鋭い感受性に富んでいるほうなので、暗に、
(余と共に起つのを好まないなら、手を拱いて見物していよ。また、望みならば、頼朝の敵に立って、一箭交わしてみるもよい。妻は妻。舅は舅。武門の道に立っては、私情の斟酌には及ばぬことぞ)
と、云わぬばかりな襟度をわざと示しているのである。