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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

五

頼朝を助けて欲しいと思っているのは、禅尼おひとりで、世間の侍どもや一般は、冷淡らしいとお取りになられたら小松殿のお考えも、自然、冷たくお傾きになろうもしれぬ……」

と悔いたりした。

従者もつれず、駒も持たず、宗清は小松谷から歩いて来た。夕月が白かった。薫々と袖や面に匂う風がある。月明りより白い道ばたの梅の花だった。

「弥兵衛。――まだ歩いておるか」

ふいに、後ろから声をかけられて驚き仰ぐと、重盛であった。

重盛は、馬上から云う。

「駒の口を取れ。ちょうどよい折。これから父上へ会いに参るが、途中、そちの案内で、幽所におる義朝の子、一目見て参ろう」

宗清は、欣しさに、あっと答えながら駒の口輪へ走り寄った。日頃は内気のように籠ってばかりいる重盛が急も急、自分がお暇するとすぐ出て来たらしい早さに驚きもし、有難くも思って眼がしらが熱くなった。

五

主はいない邸である。夜はなおさら寂として、燈火の影は遠侍のいる部屋にしか映していない。

長縁を先に立って歩みながら、宗清は、

「おことばをかけてお遣わしになりますか」

と、後から来る重盛へそっとたずねた。

重盛は、ことば静かに、