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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
雪千丈
一
雪千丈
一
「佐どの」
「佐どのうっ」
「おおういっ」
すさぶ吹雪の白い闇にかたまり合って、にわかに立ち止まった主従七騎の影は、口々でこう呼ばわりながら、佐殿のすがたを血眼でさがし始めた。
「見えぬ」
「お見えなさらぬ」
「つい黄昏時、篠原堤へかかる頃まではたしかに、われらの中にお在したものを」
暗然と、求める術を失った眼は、ただむなしく、十方を掃いてゆく白魔の暴威にばかり奪われてしまう。
「……もしや敵の手に」
誰も皆、ひとつ憂いに囚われて、一瞬ほどは、眉にも睫毛にも、兜の緒にも鞍つぼにも、雪の降り積るにまかせたまま、駒首寄せて声もなかった。
平治元年の十二月だった。
きのう二十七日の朝から、京都に大乱の起ったらしい事は、この近江の国にもはや知れ渡っていた。四明ヶ岳や逢坂の山の彼方に、終日、黒煙が立ちのぼって見えたので、四年前の保元の乱の時よりも、こんどの合戦は大きかったにちがいないと、湖畔の駅路や宿々では伝え合っていたところへ、
(――六波羅殿のお布令ぞ。源氏の与党と見たら、捕えて突き出せ。義朝の一族と見かけたら道を通すな)
と、平家の武士や、宿場の沙汰人たちが布令て来たので、戦争の結果も、さてはと知れ、落人や追討ちに係り合うて憂き目を見るなと云い合わせたように、二十八日の夕ともなれば、どこの宿場でも野辺の部落でも、