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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

六

「な、なんでございますか」

「――それも、この断崖の下へ行きつくまで、義経のいのちが無事であったらば――だが」

「ともあれ、仰せ下さい。伺っておきましょう」

六

「難波あたりに、そちの手持の船は今、どれほどあるか」

「奥州船は、いかほども参っておりませぬが」

「ともあれ、難波へ急ぎ、そちの力で集められるだけの船を、淀の口、渡辺あたりへ寄せおいてくれ。――船底には悉皆、兵糧をつみ入れ、世上には、四国へ渡る商い船といいふらして」

「船数は」

「多いほどよい。いかに多くても余るほどは寄るまい。源氏の兵馬がみな乗るには」

「わかりました」

吉次は、辞儀をして起った。もう義経の胸にできている次の作戦が彼にもおぼろながら読めた。

「たのむぞ。はやく行け」

「では――」

と、吉次は、万一これが最期の別れとなるかも知れないと思うので、なお、すぐには立去りもせず、すこし後へ退がると、待ちかねていた佐藤兄弟が、

「馬を引きました。これでよろしゅうございましょうか」

二頭の口輪をとって、その裸馬を、義経の左右へ寄せた。

義経は打ちうなずいて、

「その二頭を、絶壁の真下へ、落してみよ」

と、命じた。