輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

四

そして、われ知らず頬をながれるものを拭わずに、蓬壺の園にすだく昼の虫に心を沈めていると、どたどたっと廊を早足に渡ってくる跫音がした。

入道は、あわてて眼を拭い、常よりもかえって恐い顔を作って、

「誰だっ。静かに歩めっ」

と、叱った。

「わたくしです。早くお知らせしなければと思ったので、つい……」

子息の宗盛と――入道には孫にあたる――資盛とが、揃ってそこに両手をつかえた。

「なんだ? 慌ただしゅう」

「父上。……ここにおる資盛が、当然うけ継ぐはずの越前の所領が、兄重盛が死んで間もないのに、何のお沙汰もなく、没収と、仰せ出されました。お聞き及びでございますか」

「何、重盛の所領を」

「嘘かと思ったくらいですが、糺してみたところ、誤りのない事なのです」

「……そうか」

努めて冷静であろうとしたが、入道の顔いろは抑えきれないものに変っていた。

「そればかりではありませぬ」

宗盛が、なお図に乗って、告げ口しかけると、

「うるさいっ」

入道は、吠えるように叱って、

「つべこべ云わんでもよい。また、例の鹿ヶ谷だろう。退がれ。退がっておれ。――だが、帰るなよ、あちらに控えておるのだ」