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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

旅人をのせて浪華へ通う舟もある。この里の雑穀や炭薪を京の市へ運輸する荷舟もある。鵜匠の鵜舟は繋ぎ捨てられたまま今は顧みられもせぬ。白拍子の住まっている艶いた舟は、昼は留守のようであったが夜となれば苫の外へ紅い灯を垂れて、星のように出て来る気まぐれ男を招いていた。

こうして見ると、河の上にも春秋の運命があり、その日その日の生業も慌ただしい。

「お世話になりました。お情けで子たちもこのように、元気づいて参りました。墨染と尋ねて行けば、これから訪う家も、何とか知れましょう。……お暇を」

常磐は、礼をのべて、身支度をしかけた。

ここも水の上。

狭い苫舟の内であった。

うら若い姉妹の白拍子が、ひとりの病母を養うため、この舟を世帯としていた。今朝、妹のほうが、まだ霜の白い朝まだきに、市へ買物に上がった帰り途、町屋の廂の蔭に凍えている親子四人を見かけて、

――まあ、お可哀そうに。

と、飢えにふるえている二児の手を曳き、乳呑みを抱いて路頭の霜にうずくまったまま、起つ力もなげな上を励まして、ここへ連れて来たものだった。

清水寺の観音堂を出てから幾日幾夜、常磐は、われながら、