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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

鎌倉へ

一

――旗下に馳せつけよ。

――志のある輩は、みな伴れて来い。呼びかけて来い。

と、味方を募っていた。

小山四郎朝政。

下河辺行平。

豊島権守清元。

葛西三郎清重――などという顔ぶれの所は、それぞれ源氏にゆかりのある者、脈があろうと期待されていた。

中でも、葛西清重からは、逸はやく返辞が来たが、

(江戸、河越なんどの平家方に睨まれているので、参るには参るが遅くなる)

と嘆いて来た。

頼朝は、またすぐ返書を送って、

(陸路がむずかしければ、海路を渡って来い。時逸しては、千載までの恨事を遺そうぞ)

と云って遣った。

それほど、彼の胸では、事を急いでいた。――お味方申そうと云って来た上総介広常からも言葉だけで、今以て迎えが来ないのである。

「時政」

「はっ」

「こちらから上総へ出向こうではないか。こんな僻地にいては、馳せ参ずる者どもも不便だ」

「――が、もうしばらく、お待ちなされませ。当所の安西殿が今は旅先にあって留守でもござれば」

「安西三郎の庇護の下に、こうして半月の余を過しながら、無断で去っては悪いが、一日遅ければ一日だけ、味方に利という事はない」

「それにしても、まだ下総へ参った藤九郎盛長も帰らず、その他、諸豪の動向もよう分らぬうちは」