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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

それを醒まして促すと、もう歩くのは嫌だと云う。何と諭しても、

「嫌だ。嫌だ」

と、地べたへ坐って、泣きじゃくッてしまうのである。

やや聞分けもあると、力にしている今若も、まだ八歳だし、生なか物心のあるだけに、乙若よりは恐怖を知っていた。

――明日は、明日は。

と母に賺されて、飢え、寒さ、心細さを怺えて来たのも、ようやく果てしない事と、幼な心にも覚って来たか、両の腕を曲げて顔を埋めこみ、今宵はしゅくしゅく啜り泣いていた。

「もう、どうしょうぞ……?」

子達のそうした姿を眺めると、常磐も坐ってしまいたくなった。ひと思いに、和子たちの喉笛を突き刺し、自分もここに死なんかと思った。

死。

それは絶え間なく襲って来る甘い誘惑であった。今の彼女に、死ほど安らかですぐにも行けそうに思われる所はなかった。そこには、恋しい頭殿もいられるし――

けれど彼女は、

「否!」

と、何の苦もなくそんな迷いを否定し去った。強く生きる気もちをすぐ持ち直した。乏しい母乳を無理に吸われるので、乳くびが疼き痛むたびに、牛若の顔をのぞいても、わが生命を、わが生命とのみは、考えられなかった。

四