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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
と、兄の座を拝した。
小兵な義経のからだが、いとど小さく見えた。頼朝は、見下ろして、
「九郎か。――大工棟梁に、葦毛の吹雪と、栗毛の星額とを取らせる。そちが行って、その馬を、これへ引いて来い。――馬を引いて、棟梁どもに与えよ」
と、いいつけた。
「…………」
義経は、俯向いたまま、いつまでも返辞をしなかった。
土肥、北条、千葉、畠山など並居る人々の顔こそかえってはっと変った。
馬を引けとは。
しかも、大工棟梁へ、馬を引けとは。
「なんでそんな卑しい役目を、他に仰せつける人もあるのに、御曹子へは?」
人々は、頼朝の心を、推し量りかねた。――また、義経の返辞が、どうか、穏やかであるように――きょうのこの盛大な吉日が難なく終るようにと――手に汗して、念じないではいられなかった。
「…………」
「嫌か」
頼朝の眼は小兵な弟の平伏している姿へ、きびしく注がれたままであった。
「…………」
義経も、無言のままである。
一瞬、せっかくの曠の日が、険しい雲に蔽われてきたように、誰もが胸を暗くした。義経の襟の毛も微かに、わなないているかに思われた。
「九郎。なぜ起たぬか」
二度目の声は、さらにきびしい。