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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
平家の動静は、刻々、義仲の耳へはいる。義仲は、
「すておけない」
と、遽に軍備して、平家討伐のため、山陽へ下った。
ところが、先鋒の足利義清が、備中の水島で、平家のため、惨敗してしまった。
それに気の腐っているところへまた、京都方面の情報によると、
(法皇には、鎌倉の頼朝をお召になって、ひそかに、何かお諮りになる御意らしい)
と聞いたので、彼は、
(この義仲をさし措いて)
と即日、戦を抛って、都へひっ返してしまった。
帰ってみると、自分の腹心と思っていた新宮行家も、法皇のご信任に誇って、自分へ反目しているようである。
彼の不安は、狂躁を加えてきた――彼が、法住寺殿を焼いたり、公卿の官爵を思いのまま剥ぎ奪ったり、自ら院の厩の別当と称したり、さながら清盛入道の悪いところだけを真似たような、小さな暴王となり出したのは、その頃からであった。
…………
それが十月末頃の京都の実状であったが、以来、鎌倉の頼朝は、何が伝えられて来ても動かなかった。義経もその下にいるのかいないのか、世間に消息も聞えなかった。
二
いつのまにか、時代の勢力は、三つに分れている。
京都を中心とする義仲と。