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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
とか、
「範頼、義経ごときが」
とか気焔のみ上げていたが、朝夕、彼の呶号が多くなって来たのは、もう酒では誤魔化しきれない現実が、ようやく、彼の目にも、さし迫って観えて来たからであった。
――で、義仲は、腹心の大夫房覚明を使者として、平家方へ、和睦を申し込んだのである。
「背後の憂いさえなければ」
と彼は、この苦しい体制で、今の窮地が、打開されるものと信じていた。
われながら、窮余の一策、とは思ったが、武門の醜態とは考えなかった。
彼の擁している北陸や木曾の猛兵のあいだには、まだ新しい「武士の道」が昂揚されていなかった。鎌倉に集まった新時代の若武者たちが、早くも、次の時代をうけもつ資格を自覚して、互いに、節義を磨き、恥を尊び、文化の建設と歩調を一にしているのと較べると、彼等はただ強いばかりを能として、そのくせ、その勇猛をも弱める美衣飽食や女色には、まるで脆い弱点を、余りに多く持っていた。
義仲をはじめ、その部下は、多分に人間的で、赤裸ではあったが、武士としては、匹夫の勇にすぎなかった。軍としては、当然、この京都を維持しきるだけの性能はなかった。
「――やすめ。