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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

讒者

一

そういった人がらが、義経は好かなかった。また、宇治、瀬田と分れて戦う前からも、景時とはよく評議のうえで意見の相違を来した。

義経は、義経の信念で押し通して来た。そうしなければ勝てない戦であった。けれど景時は、

(九郎殿には、事々に、軍監たる此方へ楯をつく)

と、範頼などに向っては、その感情を口に出して云った。

範頼と彼とはよく気が合う。

いや、範頼なら景時の意のままにもなるからと云ったほうが正しい。

だから彼は、あたかも範頼の後見のように、多くは範頼の陣にいた。そして、義経の陣地のほうはほとんど顧みなかった。

先頃も義経が、一ノ谷にある平家の攻勢に対して、

――一日も早く。

と、味方の積極的な行動をいそいで範頼を説いていた折も、いつも範頼のそばには、景時が、黙ってついていた。

口に出して、反駁はしないが、範頼が何のかのと、言を左右にして、動かなかったのも、彼の優柔不断ばかりでなく、その意志は、実は黙っている景時の表現だった。

義経も察していた。

義経はまた、その感情を巧みにつつんでいられない性情である。きらいな人間に対しては、きらいだという顔をする。