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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
「敵が仏事をいとなむ日まで遠慮していたら、攻め入る日などありはしまい。まして、清盛入道など、源氏にとっては、その墳墓をあばいても飽きたらぬ仇敵だ」
「仇敵ながら、あの入道にも、人なみの涙はあったればこそ、幼時この義経も、ふしぎに生命を助けられた。――また鎌倉殿とても、同じように、すでになきはずの一命を、救われたのではあるまいか」
「むむ。なるほど」
厭味いっぱいな頷き方をして、景時は横を向いて云った。
「そういえば、御曹子の生みの母、常磐どのとやらも、入道のお世話になられたそうな。……無理もない」
義経の顔いろがさっと変った。ちらとそれを見ると、景時は、座を起って、
「いや、つまらぬ事のみつい申し上げた。余事はさて措き、要するに、ご進撃はいつの事か。東の城戸へ襲せるにも、手心を合せねばならぬが」
と、云い直した。
それに対して義経はしばし答えもしなかった。彼の血は明らかにかき乱されていた。しかし水の澄むような落着きに帰ると、もとの笑くぼがその面にさびしげに残っていた。
「あすの夜明けまでには」
「え。あすの夜明け」
「蒲殿と一ノ谷で会おう。見事それまでに、東の城戸を打破って、お入りあるよう伝えてくれい」