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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

けれど決してわざとでない証拠には、館の家人や身近な者は、反対に、

(もちっと鷹揚に、重々しゅうお構え遊ばさねば困る)

と、むしろ彼が余り容態に無関心で、威張らないことを時々、喞っているのを見ても分ることである。

時には、君子風の嫡子重盛などからも、

(お父上は、どうしてそう軽忽でいらっしゃるか)

と、たしなめられたりするくらいなのである。

しかし、持ったが病というか、清盛は自分で意識しても、むかしの貧乏育ちのくせと、書生気のような無造作が直らなかった。

それも、安芸守や播磨守だった時代の一朝臣の頃には、物に関わぬおもしろい殿よ――と似合いもしたがである。

正三位参議という位階は、武人として決して低いものでない。しかも、その勢威の衆望は、実際において、源氏全滅の今日では、彼と対立する何者もいないのである。雲上には数多の大臣や高官がいるに違いないが、清盛自身でも眼中に入れていない事は、一門も郎党たちも知っている。――故に、

(もそっと、鷹揚に、重々しゅう、お構えなさればよいに)

と、望むのであった。

がらは小さいが、声は大きい。彼は大股に館の奥へ、歩を運ばせながらも、何かしゃべってゆく。