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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

四

(かなわぬまでも、頼朝の命、何とかお救い賜わるよう、清盛どのへ尼よりおすがりしてみましょう)

とまで云われた。

それを頼みに、宗清は、きのうも待ち、きょうも待ち、すでに死罪打首の日どりは、この月の十三日と、日まで内定しているのも――まだ頼朝へは申し渡さず、ひたすら禅尼からの吉報を心待ちにしているのだった。

四

待ちきれずに、宗清は、そのあくる日、泉殿へ伺って、禅尼へお目通りをねがった。

禅尼は、宗清が切り出すまでもなく、用向きを察して、

「どうしたものぞ、尼の力ではもはやお縋りの言葉もないが」

と、打ち悄れていう。

そして、頼朝の首斬られる十三日にも、はや間もないが――と、落涙さえして、清盛の無情を喞たれた。

「いやいや」

宗清は、頭を振って、禅尼を励まし、

「清盛様が、無情なお人だなどとは、世評のことで、実は、涙もろくて情には極くお弱い方にちがいございませぬ。――が、それではご一門をひいて、なお、大きくは天下の政治をなされては行けませんから、ご自身で、ご自身の弱いところを知って、強いて無情に構えていらっしゃるのだと、私などは存じあげておりまする」

「……じゃが、今度ばかりは、尼がどう掻き口説いても、うんとは仰せられぬ」