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むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁
私は立ちあがった。
「さあ、いそいで帰って、みんなを喜ばせよう」
「それ。出船だ。つれ潮だぞ」
つれ潮というのは、潮が船の進む方向に流れることで、つれ潮に乗ると、船は潮に送られて、速力が出るのだ。
「がんばって漕ごう」
大きな正覚坊六頭と、たきぎを船いっぱいに積んで船足の重い伝馬船は、東へむかって、帰りの航海についた。くたびれてはいるが、宝島の発見で、元気が出て、櫓拍子も勇ましく漕ぎ進んだ。
夕ぐれとなって、太陽が水平線にしずむと、西の空にうかぶ雲は、レモン色の美しさ、それが煉瓦色になり、やがて紅色に、だんだんと鉄色の夕やみになってしまった。西の空も水平線も黒くなると、星が青く赤く、鏡の海にかげをうつしはじめた。水平線に近く、ひくいところに光る北極星をめあてに東に方角をきめて、漕ぎつづけた。この星をたよりに、われらの小さな島を、夜の海に、さがさなくてはならないのだ。
そのころ、島に居残っていた人たちは、心配しはじめた。日がくれても、探検船は帰って来ない。探検船には、海図も羅針儀もない。だいじょうぶ、たしかに帰ってくるとは思うが、ちょっとでも方角がそれたら、この島を通りこしてしまうかもしれない。