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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,609 字 · 362 頁

青空文庫

その女達は、伊万里赤絵町から、かわるがわる四、五人ずつ呼んでおく港の遊女で、朱塗の駕が山峡を通る日は、飽いた女が返されて、次ぎのみめよい女が撰ばれてくる日だ。

×   ×   ×

窯焚きの百助と山目付の鈴木杢之進、庭木戸から入ってきてこの態を眺めたが、格別目新しいことでもないので、相変らずだな、と思って縁へ寄ってきた。

「親方、ちょっと起きておくんなさい。窯焚きの百助です」

「寝てやしねえ。なんだ?」と、久米一は横になっている体を腹這いにして、擡げた首へ頬杖をついた。百助は癪に障って、

「この老爺め、よくよく芸に慢心していやがる」

と思った。陶器作りで一番大切なのは窯焚きなのだ、窯焚きの手加減一つで、どんな名工の鏤心砕骨も、ピーンと破れが入ってしまう。

だから、どんな雑物焼きでも、窯焚きの待遇にはハラハラするのが世間一般、久米一のように、腹ン這いで話すなんていう不作法は見たくも見られぬ例外だ。

「折入って、親方にちっと話があるんですがね」

「いってみねえな。よく今日は、折入ってという奴が続く日だ」

「鈴木の旦那」と後ろを向いて、

「一つわっしに代って、さっきの一埒を親方に打ちまけて見ておくんなさい」