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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,609 字 · 362 頁

青空文庫

小刀を前差にして、袴の襞をとった形、いかにも棗の眼をひいたろうと思われる。

窯焚きの百助は、虫酸の走るような眼をくれて、いきなり側へ寄って行った。

「おい! 加賀ッぽう! 加賀の九谷から来た兆二郎ッ」

「えっ」

「見やがれ、面の色が変りやがった。汝はなんだろう、大聖寺の前田の家来か九谷の陶器作りの伜だろう。うまく化け澄ましていやがるな」

「飛んでもないことを! ……百助さん私は元江戸の者で、兄は浮世絵師の」

「止せよ! この窯焚きの百助はな、さんざん江戸でもゴロついていた事があるんだ。てめえみてえな色の生白い泥人形が、江戸生れだなんて吐かしたって誰がまともに受けるものか。その訛りは加賀ッぽう剥きだしだ。前田の家来に違えねえッ」

「無態なことをおっしゃって下さいますな。この兆二郎の身の上は、師匠もよく御存じでございます」

「やかましいッ。巡礼だか六部だかになりやがって、仮病をつかってこの邸の前に倒れたなあうぬの手段だ。そんなことはこの百助が、三年も前から睨み貫しているんだぞ。さ、ここで泥を吐かなけりゃ、俺と一緒に代官所へ来い。白洲で、白黒をつけてやる」

ムズと兆二郎の襟頸を掴んだ。