輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

「主人をさがし求めるとて、方角ちがいへ迷うたのか」

「はい……。へい」

吉次の誇張がいかにも滑稽に見えたので、もう怺えきれない天狗が吹き出してしまった。それをまた、繕う為に、ほかの天狗は、

「何と、虫のような、心細げな声を出す人間ではある」

と云って、いちどに声をそろえ、谺するばかりどっと笑った。

「太郎坊、太郎坊。この人間、どうしてくれましょう」

ひとりの天狗が、体の巨きな天狗にいう。

大天狗は厳かに、

「取るに足らぬ男とは見えたり。この谷間を犯した罪はゆるし難いが、生命だけは助けて、世間へ抛り返してやれ」

「どう抛り返しますか」

「よいように」

「心得申した」

「いや待った。その前に、裸にして、持物などもよう検めた上で」

「そうだ!」

吉次はたちまち裸にされた。

運よく、怪しまれるような物は、何も持合せていなかった。しかし、誰の携えていた物か、真っ赤な古法衣を頭から被せられて、その上からぐるぐる荒縄で縛られたのには、さすがの吉次もどうなる事かと胆を冷やした。

いよいよ生命に関わりそうになった時は、素姓を打明け、知恩院の光厳とは知っていた間であることを訴えてみる気でいた。