輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

この家は、膏薬練りを業としているので、母屋のほうでは、伜たちや男どもが、薬研の音や薬練りをしていた。

「飯を握って、味噌など添え、あの童に与えて追ん出してやれ。山路の方角を教えてな」

仏心のある男とみえて、かたく妻にいいつけた。

ゆり起されると共に、頼朝はそこを出なければならなかった。

生れて初めて、人に食物を恵まれた時は、さすがに涙がこぼれた。それも山へ去ってから喰べた。

浅井の北郡は山深い。彼は日が出る方へ出る方へと自然に歩いた。小平という辺で一人の尼に会った。

「どこへ行きなさる」

「青墓へ」

「山越えで」

尼は顔を振った。

不破の関を通るならとにかく、この雪では美濃へ山越えなど思いもよらぬ事だという。

「まあ、庵へ来なされ」

尼は、凡人の子でないものと見て、頼朝を誘った。けれど、何も問わなかった。およそ一月余りも、頼朝は尼寺の天井裏に寝起きしていた。

暗くて、窮屈で、寒かった。

藁や莚を持ちこんで、頼朝は尼がいいという日まで、じっと待っていた。その間、毎日毎日、そらんじる程よく聞いたのは、尼が朝暮に誦む法華経の声であった。

経文の意味は元より酌めないが、天井裏で聞いていると、頼朝は何だか楽しくなった。